
あなたは、ご自身のWebサイトをたくさんの人に見てもらいたい、と思っていますよね。
そのために、素敵なデザインにしたり、有益な情報を掲載したりと、様々な工夫をされていることと思います。
では、そのサイトは「どんな人でも」快適に利用できるようになっているでしょうか?
こんにちは。Webサイト制作サポートをしているアスカネットの飛鳥です。
私自身、視覚障害者として、日々スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を使いPCやスマホでアプリを利用したり、Webを利用しています。
この記事では、そんな私の視点から、多くの方が見過ごしがちな「Webアクセシビリティ」の重要性と、専門家でなくても今日からすぐに始められる改善のヒントを、分かりやすくお伝えします。
なぜ今、Webアクセシビリティが重要なのか?
Webアクセシビリティとは、一言でいえば「年齢や障害の有無にかかわらず、誰もがWebサイトで提供される情報やサービスをきちんと利用できること」です。
これは、単なる「社会貢献」や「ボランティア」の話ではありません。あなたのビジネスにとって、明確なメリットがあるのです。
- ビジネスチャンスが広がる
日本では、65歳以上の高齢者人口は約3,600万人、何らかの障害のある人は約960万人いると言われています。見やすい・使いやすいサイトを作ることは、これまでアプローチできていなかった、これほど多くのお客様候補にあなたのサービスを知ってもらう、大きなチャンスに繋がります。 - 企業の信頼性(ブランドイメージ)が向上する
アクセシビリティに配慮しているサイトは、「すべてのお客様を大切にしている」という企業の姿勢の表れです。その誠実なイメージは、ユーザーからの信頼感を高め、結果的にブランドイメージの向上に貢献します。 - SEO(検索エンジン最適化)にも有利になる
実は、Googleの検索エンジンが見ている世界は、スクリーンリーダーの利用者の見ている世界と非常に似ています。見出しが適切に使われ、画像に説明がきちんと付いているサイトは、人間にとっても、検索エンジンにとっても内容が理解しやすいため、検索結果で上位に表示されやすくなる傾向があります。
「アクセシビリティが低いサイト」で実際に起きていること
私がスクリーンリーダーでWebサイトを訪れた時、こんな「デジタルの壁」によく出会います。
もしかしたら、あなたのサイトにも、こんな壁があるかもしれません。
- 壁その1:画像に説明がない
素敵な商品写真や、分かりやすいグラフが並んでいても、画像に「代替テキスト」という説明がなければ、スクリーンリーダーは「画像」としか読み上げません。そこに何があるのか、全く情報が伝わってこないのです。そもそも、画像に代替テキストがないのは、アクセシビリティ以前にHTMLの基本的なお作法としても推奨されておらず、一種の「バグ」とも言える状態です。 - 壁その2:リンクの文字が「こちら」ばかり
「詳しくはこちら」「ここをクリック」というリンクがずらっと並んでいると、一体どこに繋がるリンクなのか、前後の文脈を必死に読まないと理解できません。 - 壁その3:見出しがなく、ただの文章の塊
見た目だけ太字になっているだけで、見出しの構造が使われていない長い文章は、情報の構造が分からず、目的の箇所を探すのが非常に困難です。それはまるで、目次のない分厚い本を、最初から最後まで全部読まされているようなものです。
専門家でなくても大丈夫!今すぐあなたのサイトでできる改善点3選
「難しそう…」と感じたかもしれませんが、ご安心ください。
まずは、ご自身のサイトの管理画面からすぐにできる、簡単な3つの改善点から始めてみましょう。
改善点1:画像に「代替テキスト(altテキスト)」を必ず入れる
これは、最も簡単な改善です。
サイトの編集画面で画像をアップロードしたら、設定欄にある「代替テキスト」の項目に、「その画像が何を表しているか」を簡潔に記述しましょう。
- NG例:
IMG_1234.jpg
- OK例:
笑顔でパソコン作業をするカフェの店主
これだけで、スクリーンリーダーの利用者は、その画像の意味を理解できます。
改善点2:リンクのテキストは「リンク先が分かる」言葉にする
「こちら」という曖昧な言葉を使うのをやめて、リンク先のページの内容が分かる具体的な言葉にリンクを貼りましょう。
- NG例: サービスの詳細については、[こちら]をクリック。
- OK例: [アスカネットのWebサイト制作サービス]については、こちらのページをご覧ください。
こうすれば、リンクのテキストを聞くだけで、どんなページに移動するのかが明確に分かります。
改善点3:見出しを正しく使って文章を構造化する
文章の「章」や「節」にあたる部分には、単に文字を太くするのではなく、必ず「見出し」機能を使いましょう。
記事タイトルが「見出し1(H1)」なので、記事中の大きな区切りは「見出し2(H2)」、その中の小さな区切りは「見出し3(H3)」と、階層を意識して使うのがポイントです。
まとめ:アクセシビリティは「特別な配慮」ではなく「おもてなし」です
Webアクセシビリティへの対応は、一部の誰かのための「特別な配慮」ではありません。
それは、あなたのサイトを訪れてくれる「すべての人」に対する、最高の「おもてなし」です。
とはいえ、どこから手をつければ良いか、自分のサイトは大丈夫かと、不安に思うこともあるかもしれません。
私は、アスカネットとして、Webサイトの制作をさせていただくと同時に、視覚障害のある私自身が日々デジタルの「見えにくさ」を体験しています。だからこそ、技術的な正しさだけでなく、本当に使いやすいサイトとは何かを、両方の視点から追求しています。
もし、あなたのサイトが「すべての人」に優しくなれているか少しでも気になったら、ぜひ一度お話をお聞かせください。あなたの素晴らしい活動が、本当に届けたいすべての人に届くよう、心を込めてお手伝いします。