視覚障害のある人に、どう声をかければいい?
前から、落ち着いた声で、この一言をかけてください。
「何かお手伝いしましょうか?」- この一言で、「手伝う気持ちがある」ことがはっきり伝わります。
- いきなり腕をつかむ、無言でじっと見るのは避けてください。何が起きたのか分からず、こわく感じます。
- 「大丈夫です」と断られても、気にしなくて大丈夫。声をかけてもらえたこと自体が、私たちには心強いんです。
くわしくは第3章「サポートの心構えとコミュニケーションの第一歩」
Kindle本 視覚障害者ガイド
今日からできる視覚障害者ガイド
白杖の人に、なんて声をかければいい?
手引きのとき、どこを持ってもらえばいい?
視覚障害者の私が、その答えを一冊にまとめました。
そんな経験がある人は、きっと少なくないと思います。
「何か手伝えることはないかな」と思っても、どう声をかければいいのか分からない。失礼になったらどうしよう。その迷っているあいだに、タイミングを逃してしまう。そう思うのは、とても自然なことです。
いちばん大切なのは、
「分からなければ、まず本人に聞いてみる」ことです。
見え方も、困りごとも、一人ひとり違います。だからこの本では、「こうすれば正解」を押しつけるのではなく、聞き方と、その後の具体的な手の貸し方を、場面ごとにまとめました。
本の中から、街ですぐに役立つところを抜き出しました。
前から、落ち着いた声で、この一言をかけてください。
「何かお手伝いしましょうか?」くわしくは第3章「サポートの心構えとコミュニケーションの第一歩」
ガイドする人の肘の少し上を、軽く持ってもらいます。ガイドは半歩前を歩きます。
くわしくは第4章「【完全ガイド】安心・安全な『手引き(誘導)』の実践テクニック」
おすすめは、時計の文字盤を使う方法です。
「正面の12時にご飯、2時のあたりにお味噌汁です」くわしくは第5章「手引きだけじゃない!様々な場面でのサポート術」
よかれと思ってやったことが、すれ違いになることがあります。7問、気軽に答えてみてください。答えると、すぐ下に解説が出ます。
白杖の人が立ち止まって、困っていそう。前から「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけた。
答え:OK
サポートの申し出だと、はっきり伝わる一言です。前から、落ち着いたトーンで話しかけてもらえると、状況をつかみやすくなります。
急いでいるみたいだったので、声をかけずに腕をつかんで、目的地まで連れて行った。
答え:NG
何が起きたのか分からず、とても不安になります。まず一言かけて、本人の意思を確かめてから手を貸してください。
手引きのとき、相手に自分の手首を握ってもらった。
答え:NG
手首だと体の動きが伝わりにくく、不安定になりがちです。肘の少し上を軽く持ってもらい、ガイドは半歩前を歩きます。
トイレの場所を聞かれたので、指をさして「あそこですよ」と教えた。
答え:NG
指さしと「あそこ」は、見えないと伝わりません。「右に曲がって10歩ほどです」のように具体的に伝えるか、「一緒に行きましょうか?」と聞いてみてください。
料理が運ばれてきたので、「正面の12時にご飯、2時のあたりにお味噌汁です」と伝えた。
答え:OK
時計の文字盤で伝えると、位置がすっと頭に入ります。熱いものがあれば、ひと言添えてもらえるとさらに安心です。
サポートが終わったので、何も言わずに、そっとその場を離れた。
答え:NG
相手がまだそばにいるのか分からず、取り残されたような気持ちになります。「これで失礼しますね」と一言かけてから離れてください。
「見えなくて、かわいそうに」と声をかけた。
答え:NG
同情の言葉は、相手を「劣った存在」と見ているように受け取られることがあります。私たちは、見えにくいという特性を持ちながら、毎日を当たり前に暮らしています。
本の第6章「これってNG?それともOK?」では、障害を「ネタ」にすること、「普通に接して」の本当の意味なども取り上げています。
本では、場面ごとに声かけの例まで紹介しています。ここでは要点だけ。気になる場面を開いてみてください。
手前で必ず一度止まり、上りか下りか、何段あるかを伝えます。手すりの有無と位置も。
例:「ここで一度止まります。これから10段ほど続く上りの階段です。右側に手すりがあります。」
ガイドが先に一段動くと、腕から高さとタイミングが伝わります。最後の一段も、平らな所に着くまで見届けてください。
早めに「この先、通路が狭くなります。一列になりましょうか」と提案します。
一列になるときは、ガイドの肩に手を置いてもらうか、ガイドが腕を背中側に回して持ってもらいます。
開き戸か、引き戸か、自動ドアか。手前で種類と開け方を伝えます。
例:「手前に引くドアです。右側に開きます」
扉はガイドが開けて、通るスペースを確保するのが基本です。重い扉や、扉の先の段差にも気をつけてください。
椅子の前まで来たら、背もたれの上や肘掛けに、そっと手を導きます。形や向きは本人が手で確かめます。
ソファなどの長椅子では、何人掛けか、どこが空いているか、隣に人がいるかを伝えてください。以前、空いていると思って手で確かめたら、隣の方に触れてしまい、お互いに驚いたことがあります・・・。
電車はホームと車両のすき間や段差に特に注意します。開くドアの側や、降りる駅も前もって伝えます。
バスはステップが高く、発車や停車で揺れます。乗ったらすぐに座るか、手すりにつかまれるように案内します。
エスカレーターは、上りか下りか、手すりの位置を伝え、「私の合図で一緒に乗りましょう」と声をかけます。
エレベーターは、ドアが開く向きや床との段差、ほかの乗客がいるかも伝えます。
メニューは好みを聞いて絞りこみ、料理の配置は時計の文字盤で伝えます。
書類の記入では、まず何の書類で、どこに何を書く欄があるかを説明します。代筆をたのまれたら本人の言葉どおりに書き、漢字は「坂道の坂でいいですか?」のように意味で確かめます。書き終えたら、全部読み上げて確認します。
視覚に障害がある方々の日常やサポート方法を学ぶことができます。視覚に障害がある方々はどんなことに困っているのか?サポートはどうすれば?著者が詳しく丁寧に述べています。
見えない・見えにくい人をサポートに関心があるけど何をしたら良いかわからないという人におすすめです。とても読みやすくて分かりやすい内容となっています。同行援護従事者研修受講者の復習にも良いです。
当事者目線で様々な配慮について書かれています。実体験に基づいたお話しが多く、リアルな現場サイドから考察されているので、とても勉強になります。
万人にオススメですが、特に同行援護従業者養成研修の副読本に、いいなと思いました。
2025年6月26日付
「視覚障害者支援 この1冊 当事者の辻嵐さん 電子書籍に」という見出しで、本書を紹介していただきました。
2025年6月26日 18時30分ごろ放送
上の北陸中日新聞の記事が、番組内の「記者の目」コーナーで紹介されました。
14歳で見えにくくなった私が、白杖を持つまで。
全盲だけじゃない見えにくさ。白杖の3つの役割。盲導犬は「お仕事中」。
目をカメラにたとえて。主な目の病気と、その見え方のイメージ。
声をかけるタイミングと最初の一言。断られたときのこと。
基本の姿勢と間合い。段差、狭い所、扉、椅子、乗り物、点字ブロック。
物を探すとき、お店で、書類の記入。新しい「遠隔サポート」。
「かわいそう」「頑張って」。無言で立ち去る。「普通に接して」の真意。
物理的、情報、心理的なバリア。ジャズセッションのような関係をめざして。
私の相棒たち(道具と工夫)。サポートがつないだ、うれしかった瞬間。
同行援護とは。同行援護従業者(ガイドヘルパー)になるには。
小さな気づきが、誰かの道を照らす灯火(ともしび)に。
「どんな本なんだろう?」と気になった方へ。「はじめに」と第1章の前半を、朗読動画にしました。
耳で聞いても分かるように書いた本なので、Kindleの読み上げ機能でも読みやすいと思います。
「何かお手伝いしましょうか?」と、落ち着いた声で、前から話しかけてください。いきなり腕をつかんだり、無言で誘導したりするのは避けます。断られても気にしなくて大丈夫です。
ガイドする人の肘の少し上(上腕)を、軽く持ってもらいます。ガイドは半歩前を歩きます。どちらの腕を持つかは人によって違うので、最初に「どちらの腕におつかまりになりますか?」と確認します。
いいえ。白杖を持っている人の中には、ある程度見えているロービジョン(弱視)の人もたくさんいます。視覚障害者のうち、全く見えない全盲の人はおよそ1割と言われています。私もロービジョンです。
時計の文字盤を使うと伝わりやすくなります。たとえば「正面の12時にご飯、2時のあたりにお味噌汁です」のように伝えます。「あそこ」「それ」といった指示語は避けます。
読めます。資格や知識のない人に向けて書いた入門書です。第9章では、同行援護の仕組みと、同行援護従業者養成研修(一般課程・応用課程)の受け方も紹介しています。
読めます。無料のKindleアプリを入れれば、スマートフォン、タブレット、パソコンで読めます。
街で白杖を持った人を見かけたら、「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてもらえたら、私はとてもうれしいです。その一言が増えていけば、誰にとっても住みやすい、やさしい街になるんじゃないかなと思っています。